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ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その㉑ 何が正解なのか・パートⅡ

ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その㉑ 何が正解なのか・パートⅡ

こんにちは。看護部門・副管理者の大塚です。
訪問看護に携わって気が付けば20年余り・・。
「昔もあって、今も変わらないもの」「今までも、これからも大切にしたいもの」をぼちぼち綴ります。

私のブログ「その⑱ 何が正解なのか」に登場されたIさんとそのご家族の、その後のお話しです。
「その⑱」はこちら

I さんは食事がとれなくなり、医師より点滴の指示が出ました。ご家族は迷っておられましたが、週末を挟むため、まず週末の数日間は点滴を行い、週が明けてからのIさんのご様子でその後の方針を決めましょうということになりました。

私たちがご家族と初めてお会いし、お話ししたその日からIさんの点滴が始まりました。

点滴を開始する。数時間後、終了したら抜針する。
1日2回の訪問です。

最初は声掛けに目を開け少しお話ができていたIさんでしたが、日が経つにつれ目を閉じたまま、お話しができない状態になられました。
「今日で点滴は終わりにしましょう。」
医師からご家族に説明があった翌日の早朝、Iさんは旅立たれました。

お見送りをしてから約1ヶ月後、義理の息子さんのお宅に伺いました。
(Iさんの娘さんのご主人で「私が決めていいのでしょうか?何が正解なのか、私にはわかりません。」私にそうお話しおしてくださった方です)

実は、IさんとIさんの娘さんは折り合いが悪く、2人は何年も会うことなく過ごされてきたそうです。
点滴を行った最後の数日間、娘さんはご主人からの勧めもあり、Iさんに会いに行かれました。

娘さんが「お母さん、来たよー。」と耳元で声をかけると、Iさんは声は出ないのですが少しだけ目を開けて(うんうんうん)と何度もうなずかれたそうです。

(「久しぶり」「元気にしていたの?」「ごめんね」「世話になったね」「ありがとう」・・・)
Iさんの娘さんに対する想いがたくさん詰まった(うんうんうん)だったのではないでしょうか。

「母(Iさん)は思っていたより早く逝きました。でも、最後まで、本人の痛みや苦しみが無くて良かったです。母にとっても、妻(Iさんの娘さん)にとってもこれで良かったと思います。」

私は、Iさんご家族にとっての正解を義息子さんから教わりました。

自然な経過の中で「結果的に正解だった」
もちろんそれもありかもしれません。

でも、ご本人とご家族にとって、最良と思われる選択や決断ができるよう支援すること。
(選択や決断をしたから終わりではありません)

その選択や決断が、ご本人とご家族にとっての正解となるよう支援すること。

それもまた、訪問看護師として大切なことなのだと。

義理の息子さんのお宅からの帰り道、バイクに乗りながらあれこれ思いをめぐらせている私の前を、ヘルメット越しの景色が次々と通り過ぎていきました。